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輪島塗の上塗り の気遣い

輪島塗の上塗り

 
上塗りとは その名の通り
 “一番上の塗り” の事で、 
要は仕上げの塗の事です。
 
ここで何色の漆を塗るかによって
品物の色、仕上がりが決まります。
 
漆の色と言えば
“黒”と“朱”が代表的で、それしか出来ないと思われがちですが、
実際は真っ白と鮮やかな青色以外は
殆どの色が出せます。
が、
書き始めると此方も長いので、
又の機会としましょう。
 
 

上塗りの道具 
輪島塗の上塗りでは色々な道具を使います。
漆刷毛(ハケ)、クダ、機械風呂、吉野紙(濾紙)、うま等々
 
名前だけでは判りにくい物が多いので、
そのうち道具についても書かせて頂きますが、
こちらも又の機会に。
 

上塗り職人の苦労
 
では、
漆の色、上塗りの道具 以外で
何をお伝えしたいかといいますと。
上塗り職人が日々どんな事に気を付けているのか。
という部分をお伝えしたいと思います。
 
先ず、絶対に気を付けなければならないのが
ホコリ(埃)対策です。
塗った面が乾く前にホコリが付くと
周囲の漆がそのホコリに吸い上げられて
目玉の様に膨らんでしまいます。
これを“フシ”といい、
これが出来てしまうと、再び上塗りのやり直しになってしまいます。
 
以下の事柄は殆どが
このフシを作らない為の事といっていいのですが、
なかなかに苦労が絶えません。
 
 

様々なホコリ対策
 
服装……
埃が出るような服装はご法度です。
必ずビニール素材の服に着替えてからでないと、上塗り部屋には入ってはいけません。
(TVの取材などでも、原則として外からの撮影にしてもらっています。)
ビニール素材が無い時代は裸同然の格好で上塗りをしていたそうです。
 
空調……
風が出る物もいけません。扇風機、エアコン、ファンヒーターet cetera
出さないように、入れないように気を遣っても少しは入ってしまうのがホコリというものです。
そのホコリが舞い上がらない様に、風の出る物はNG。
夏場は作業前にエアコンをかけて冷やしておき、仕事中は切ります。
冬場はダルマストーブやオイルヒーターといった、空気をあまり動かさない物を使います。
 
動き……
空調と同じ理由で、走ってもいけません。
上塗り職人がのっしのっし歩いて見えるのは、
偉そうにしている訳でも、サボっている訳でもありません。
ともかく空気を動かさない様に、という気配りからなのです。
トイレに行きたくなっても、部屋の中ではゆっくりと、出てからダッシュです。
 
入室前……
部屋に入る前にエアーでホコリを払っておくのも重要です。
エアコンプレッサーで服についたホコリを吹き飛ばしてから入ります。
言ってみれば上塗り部屋は「原始的なクリーンルーム」とも言え、
塗師屋によっては実際にクリーンルーム並みの設備を導入した所もあるそうです。
 
 
その他にも
刷毛の置き方、塗る物の置き方、刷毛の掃除、部屋の掃除の仕方、履き物et cetera
実に様々な部分に気を遣いながら仕事をしています。
わたくしも学生時代に上塗りを初めて習った際は、
余りにも気を付ける事が多く、上塗り部屋に入るのが怖かった覚えがあります。
それらの事が無意識に出来る様にならなければなりません。
 
 
漆聖のお言葉

 
わたくしが漆芸研修所に通っていた際に
沈金の先生から言われた事があります。
それは漆聖・松田権六の言葉だそうで、
 
「塗師は塗の美しさに命を懸けている。
  だから加飾を考える時に必ず一か所は
    “塗だけの部分”を残してあげなさい。」
 
という事を教わりました。
漆芸作品の多くは煌びやかな蒔絵や沈金、変わり塗が施されています。
そういった美しさも勿論、漆芸、漆器の魅力ですが、
“塗り”そのものの美しさも、
輪島塗の大きな魅力でもあります。
 
是非、輪島塗を手に取る際に
塗りの美しさ、滑らかな手触りといった部分にも
ご注目下さいませ。
 
 

因みに、 
当店「輪島塗しおやす漆器工房」では
タイミングが合えば上塗りを見ていただく事も可能です。
また、
輪島塗を見るだけでなく、手に取っていただく事も出来ますので、
見て、触れて、じっくりとお買い物をお楽しみ頂けます。
是非お越しくださいませ!!
 
 
もし、
「こんな事が知りたい」
「あれはどんな意味があるの?」
といった疑問質問があれば是非ご来店頂き、
触れて、見て、聞いて。お写真等もOKです。
工房見学にて詳しくご説明もさせて頂きます。
 
ご来店が難しい場合は
お気軽にお問合せまでご連絡下さい。
出来るだけお答えさせて頂きます。
 
ご来店心よりお待ちしております。

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